症例 CASES
消化器
肛門嚢炎
肛門嚢炎は肛門嚢という分泌物を排出する組織に糞便由来の細菌感染が起きたり、分泌物を排出する導管が詰まってしまうことで生じます。肛門嚢に炎症が起きると腫れや痛み、発熱などが引き起こされひどくなってしまうと破裂してしまうことがあります。
症状としては以下のようなものがあげられます。
- 肛門周囲を気にする
- 肛門を地面に擦って歩く
- 肛門周囲の出血、痛み
破裂してしまった肛門嚢の治療は患部の洗浄後、自壊した組織をデブリードマン(感染・壊死組織を取り除き、傷をきれいにすること)し、抗菌薬や必要に応じて消炎鎮痛薬を投与します。

肛門のあたりを気にしていた猫ちゃんの症例です。肛門腺が破裂してしまったため、周囲の毛に膿が付着しています。

肛門嚢の周囲を大きく毛刈りし、患部を露出しました。右側の肛門腺は破裂し大きな欠損を生じています。また左側も炎症を起こしていました。

患部を洗浄し、自壊した組織のデブリードマンを行いました。欠損部には新たな肉芽の再生と壊死組織の自己融解を促進するためイントラサイトジェルを充填しました。抗生剤を処方し経過を診ていったところ2週間後にはきれいに傷口は治ってくれました。