症例 CASES
皮膚
犬の膿皮症
犬の膿皮症とは皮膚に常在するブドウ球菌などの細菌が皮膚や毛包内で増殖し、炎症を起こす病気です(表在性膿皮症)。 まれに感染が毛包を破壊し皮膚の深部にまで到達することがあります(深在性膿皮症)。膿皮症は細菌が増殖しやすい高温多湿な時期に好発し、またアトピー性皮膚炎や脂漏症、内分泌疾患などを持つ犬でも起こりやすい傾向があります。
表在性膿皮症の一般的な症状は皮膚に赤いブツブツや白い膿のたまった発疹ができ、強いかゆみや脱毛も見られます。深在性膿皮症では皮膚に潰瘍ができ、血液と膿が混ざったかさぶたが潰瘍の表面を覆うようになります。
表在性膿皮症の治療は薬剤耐性菌の問題から近年では患部の消毒や抗菌シャンプーを用いた洗浄から開始することが多くなっています。ただし難治性の表在性膿皮症や深在性膿皮症の症例では抗菌薬を使用します。改善が見られない場合などは安易に抗生剤を変更するのではなく、抗菌薬の感受性試験を行いより適切な抗菌薬を選択します。
膿皮症の予後は比較的良好ですが、疾患を引き起こす要因を治療することは難しいことも多く、完治してもしばらくしてから再発することがあります。

黒丸で囲んだところに毛孔に一致した丘疹と紅斑がみられます。スタンプ塗抹を顕微鏡で確認すると球菌と好中球が確認されました。

スタンプ塗抹を顕微鏡でみた画像です。小さなつぶつぶが病変部に感染していた細菌になります。

消毒薬と抗菌薬を処方し、2週間後に来院された写真です。丘疹や紅斑は無くなり、痒みも治まりました。